また花粉症の季節がやってきた! 私は、里山ボランティアでスギのあるところに行っても、多少目が痒くなるくらいでそれほどの症状は出ないですが、多くの方が苦しんでいることでしょう。
この花粉症に関して面白い話を聞いたので、ご紹介。話のネタは、NHKラジオ「深夜便」、話の主は、わざと自分のお腹の中にサナダ虫「きよみちゃん」を飼っていたという東京医科歯科大学・藤田紘一郎名誉教授。数々の賞も受けている世界的研究者。専門は寄生虫学,熱帯医学,感染免疫学。
話の結論は、
日本人のお腹からサナダ虫などの回虫がいなくなったこと、また清潔にし過ぎて腸内細菌などが少なくなったことが、免疫力を低下させ、その結果、日本人に花粉症、アトピー性皮膚炎、ガンなどを多発させることになった!
先生は、その実証のために、昨年までお腹にサナダ虫を飼っていた。しかしその5匹目のサナダ虫も、昨年亡くなり、もう清潔すぎる日本では後継ぎが手に入れられない!
まあ、それは、話を面白くするための「つかみ」として、実際の中身は非常に納得のいくもの。
戦後の日本では、細菌、カビなどという微生物は人間の嫌われ者の最たるもの。
しかし、その我々人間だって体を作っている細胞は、もともと細菌だった。ある細菌が、ミトコンドリアのもとになった細菌を取り込んで酸素呼吸ができる細胞になって、それが多細胞化して動物になり、人間になった。また地球上の生物38億年の中で細菌は38億年まるまる生きてきたが、人類はたかだか数百万年。ほんらい場所を借りている人間が、そのもともとの所有者の場所を横取りして、その細菌などを殲滅しようとしている。世の中は、抗菌グッズ流行り。
殲滅を始めるまでは、人類もそれら細菌や寄生虫などとうまく共生してきた。そうした共生の中で約1万年前に人類の免疫システムが完成した。ところが、その後(日本では戦後)の「清潔病」によって、あまりに彼らを痛めつけてきたために、いま逆襲を受けている。免疫低下による、花粉症、アトピー、ガンの多発もそうであるし、鳥インフルエンザ、O(オー)157などもそう。他の大腸菌やウィルスを減らしすぎたから、これらがその代わりに蔓延ってくるようになった。
「清潔病」による免疫力低下もさることながら、本当は、細菌、カビなど微生物を殲滅させることが、もっと大きな問題につながることを銘記しなければならない。地球の生態系は、植物が光合成で有機物をつくり(生産者)、動物がそれを食べ(消費者)、その植動物の遺体や排泄物を微生物が分解し(分解者)、その分解されたものを植物が再び吸収し、ということで回っている。細菌、カビなどがいなければ、その循環が止まってしまう。
細菌などとうまく共生するのではなく、敵視することが私たちの足元を掘り崩している。
このブログでの「分解者」の働きについては、
「No.0080 地中の命にぎわう世界」
私が、花粉症やアトピーにならないのは、不潔にしているおかげ?