山中で迷った時に、木の切り株で方角を占うという話題(No.0106 どちらが、南か?北か?)でとり上げた、与野公園の切り株のその後です。
その時、「切り株を見て、年輪の幅の広い方が南」という言い伝えは嘘!といいました。それは木が傾いている場合は、広葉樹と針葉樹で年輪の幅が正反対になるからだという理由からでした。樹形も、針葉樹が主幹が一本すっくと立ち、側枝が放射状に出て円錐形になる、一方、広葉樹は主幹と枝の区別がつかなくなり、こんもりとした樹冠になる。
ことほどさように、針葉樹と広葉樹は性質が違う。
そして、もう一つの違いが、その切り株のその後。
針葉樹
ヒマラヤシーダ:まつ科
針葉樹のヒマラヤシーダの切り株からは、まったく萌芽(ひこばえ)が出ていません。
三本切り株が見えますが、どれにも出ていません。
広葉樹
ポプラ:やなぎ科
一方、広葉樹のポプラでは、旺盛にひこばえが出ています。
エノキ:にれ科
エノキにも。
ヤブツバキ:つばき科
近くのツバキにも。
このように、一般的に、針葉樹では切り株から萌芽せず、広葉樹では萌芽します。同じ植物、同じ樹木といっても、こんなに両者は違います。
この性質の違いが、今の地球の針葉樹の衰退と、広葉樹の繁栄の背景にあるのかもしれません。針葉樹は台風などで幹が折れてしまえば枯れるだけ、広葉樹ではその場合でも旺盛に萌芽し生き続けます。
今では、針葉樹は地球上に約500種、広葉樹は数万種? かって恐竜がいた時代は、樹木はまだ針葉樹など裸子植物が全盛でしたが、その後は、だんだん被子植物の広葉樹の天下になってきました。
また、この性質の違いは、森の作り方にも関係しています。
コナラやクヌギなどの雑木林の更新が萌芽により、スギやヒノキの人工林の更新が苗の植林によって行われるのは、このためです。