”元気埼玉”サイトの「森林インストラクター・ジョーさんが案内する!彩の国を彩る花と緑」コーナーとのコラボレーション―その⑧です。
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紅葉の秋-嵐山(らんざん)渓谷
秋もすっかり深まりました。
今回は、彩の国の紅葉の名所のひとつ、埼玉県嵐山町・
嵐山渓谷にご案内。埼玉が生んだ明治の日本初の林学博士・本多静六(明治神宮の森、日比谷公園などの設計で有名)が、京都嵐山にちなんで名づけたといいます。
イロハモミジ:かえで科
オオモミジと見分けがつきにくく、葉の大きさが少し違うだけで、ともに樹木の中でもっとも鮮やかに紅葉するものの一つです。一般に、かえで科が樹木の中で
もみじ(紅黄葉)の代表選手。だからかえで科の多くを、モミジともいいます。
ところで、なぜ植物は、きれいに紅黄葉する? 人間を喜ばすため?
そうではありません。彼らの必死の生き残り作戦なのです。葉をつけたままでは、寒い冬は越せません。だから冬に備えて、葉の養分を幹に返し、老廃物だけを葉とともに捨てるための準備のしくみなのです。そのプロセスでの、葉に含まれる物質の化学変化で赤や黄色に鮮やかになるのです。
同じ、かえで科でも黄色く黄葉するものもあります。
なぜ、赤くなったり黄色くなったりする?
先にも言ったように、落葉樹は、冬に向け、窒素などの養分を枝に返して落葉の準備をします。養分を返したあと葉柄の付根に、落葉の準備のために離層という膜をつくるのです。
そして、離層をつくったその後でもまだ光合成で糖類を作りますが、もう幹には行きません。そうすると葉にたまった糖類が太陽光や温度の影響で「アントシアン」という赤の色素に変わるのです。秋になって天気がよく、昼夜の寒暖の差が大きいと紅葉が鮮やかになるのは、そうしたことからです。
一方、黄葉のメカニズムは?
アントシアンをつくらない場合に黄葉するのです。黄色の色素は、「カロテノイド」といいますが、このカロテノイドは、葉に最初から含まれています。しかし、春から夏にかけては葉緑素の緑に隠れて目には見えません。それが、秋になり葉緑素が働きを失って分解されてくると、黄色のカロテノイドが目立ってくるのです。
イチョウなどのアントシアンを作らない樹種や、赤くなるカエデでも、上の写真のように陽当りの悪いところでは黄葉する場合もあるのです。光合成が少なく、あまり糖類を作らないから、アントシアンができないのです。
その他の嵐山渓谷のもみじ点景
ゴンズイ:みつばうつぎ科
赤い実がきれいです。変な名前ですが、材が脆くてあまり役立たないから、やはりまずくて役立たない魚のゴンズイにならって付けられたといいます。
草もみじ
草が色づいたものを
草もみじということは、ご存知でしょう。これは
ススキ:いね科です。白穂が逆光に輝いています。