続けて葉っぱの話で頭の体操。だんだんこんがらがって来ます。
複葉には、
3出複葉、
掌状複葉、
羽状複葉と
鳥足状複葉があることは、前にお話ししました。また、そのうち3出と掌状のいろいろについて見ました。今回は羽状と鳥足状の話。
鳥足状は、特殊なので後で見るとして、まずは
掌状と羽状の違いから。
掌状複葉は、指を広げたように
一点から放射状に小葉が出る。それに対して羽状複葉は、
鳥の羽のように葉軸から左右に小葉を出す。
下の二つを見比べてください。
左:掌状複葉(トチノキ) 右:羽状複葉(オニグルミ)
その違いがわかりますか?
これがわからないようでは、これからはお手上げですが。
この羽状複葉にも、さらに葉軸や小葉の数の違いによって様々なカタチがあります。
まず葉軸が1本しかないもの、これが基本です。それにも二つのカタチがあります。
2枚づづ両側に並んで、軸の先に1枚の葉がついています。従って必ず奇数になりますから、
奇数羽状複葉。
オニグルミ:クルミ科
一方こちらは、葉軸の先に1枚の葉がありません。従って必ず小葉が偶数になりますから、
偶数羽状複葉。
ムクロジ:ムクロジ科 このムクロジや、サイカチなど少数派です。
知っていますか? このムクロジの黒い堅い実が、羽子板の羽根に使われました。
さらに複雑になってきます。
葉軸が1本ではなく枝分かれ(軸分かれ)して、複雑になっていきます。
まず、これ。
軸が真ん中に1本と左右に軸分かれしています。葉がついている幹から見れば、2種類の軸(2回軸分かれ)がありますから、二回羽状複葉、しかも上に見たように小葉が奇数ですから、
奇数二回羽状複葉。
ウド:ウコギ科
これも二回羽状ですが、小葉が偶数ですから
偶数二回羽状複葉。
ネムノキ:マメ科
このカタチは、かなり珍しくマメ科の一部だけにしかありません。
これで羽状複葉は終わりではありません。植物の芸当についていけますか?
次は
三回羽状複葉です。3種類の軸(3回の軸分かれ)です。これには偶数はないようです。
ナンテン:メギ科 私は、いまのところこの三回羽状複葉は、ナンテンしか知りません。他になにかあるか知っている人があれば、教えてください。
このナンテンの葉では、一つの葉に小葉が100枚以上あるものもあります。メタセコイヤの1cmほどの針状の小さい葉も一つ、この100枚以上の小葉が集まる複葉も一つの葉!
最後に、特殊な、あまり気持ちのいいものではない葉のカタチ、
鳥足状複葉です。小葉をつける軸にまた小葉をつけます。
ヤブガラシも、これに当たります。
マムシグサ:サトイモ科
ところで、植物はなぜこのような複葉という複雑な葉を開発してきたのでしょうか。それは、出来るだけ大きい葉をつけて太陽光を受けとりたい、さりとてあまり1枚の大きな葉にすると風や雨の衝撃を受けて、大事な葉が破れやすい。そこで衝撃の力を分散するために、そうしてきたのではないでしょうか。
次回は、この掌状や羽状は複葉だけではなく、単葉にもあるという話、よく頭を整理しておいてください。