奥久慈のフィールド・ノートは、3回で終えるつもりでしたが、もう一つ書きたいことが出てきたので、おまけ。
昨年も、同じ時期に、同じ山林主のところでお世話になりましたが、思い起せば、今年と大違いなことが、一つありました。
それは、スギ花粉。
昨年の春が、スギ花粉の大当たり年だったことは、ご記憶の方も多いでしょうが、奥久慈でも、例に漏れず凄いものでした。林床にも花粉が黄色く積り、歩くたびに舞い上がります。
山林主のお話でも、「こんなことは、40年、山をやっていて初めてです」
花粉は林床だけではありません。枝打ちする枝にももちろん積もっています。右の写真は、昨年の作業中のものですが、見て下さい、顔がゆがんでいます。
そうです。枝を切り落とすたびに、顔に花粉の灰神楽です。お陰で涙腺がつまり、目が腫れてしまいました。
私は、あまり花粉症持ちではありませんが。
ところが、今年は全く花粉を感じることはありませんでした。その落差たるや・・・!
この40年來で初めてという異常さは、やはり、No.0005のケヤキでも指摘しましたが、地球温暖化など異常気象の影響なのでしょうか。
この花粉症で、いまやスギは、多くの人にとって目の敵です。
しかし、それは濡れ衣です。
これもNo.0005のケヤキのところでもいいましたが、子孫を残すために植物が多くの花粉をつけ、実をつけるのは、何らかのストレスを受けているからです。
そうです。前々回のあの暗い手入れのなされないスギ林が、多くの花粉をつけるのです。山林主の持ち山のように手入れされ、スクスク育つスギ林は、花粉はつけません。
要は、人間が勝手に植えておいて、手入れをしないことによる人災なのです。間伐、枝打ちは花粉症防止の切り札でもあるのです。
それだけではありません。スギは適地に植えられ手入れさえされれば、日本の主要な樹木の中で最も生長が旺盛です。ということは、地球温暖化防止にも最も貢献しているのです。なぜなら、生長が旺盛ということは、それだけ二酸化炭素を多く吸収するからです。