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2013年 08月 08日
南草津の知人izaemonさんのフェイスブックの記事に触発されて、藻谷浩介、NHK広島取材班著 『里山資本主義』(角川ONEテーマ21 1010)を読みました。
メインの著者の藻谷さんは、超ベストセラー『デフレの正体』(角川ONEテーマ21 1010)を書いた地域エコノミスト。つられてこの前著『デフレの正体』も読みました。 いずれも面白く読みましたが、まずは「デフレの正体」から感想をひと言。 本人の言によれば、この本の要旨をひと言でいえば、「経済を動かしているのは、景気の波ではなくて人口の波、つまり生産年齢人口=現役世代の数の増減だ」。 私流にいいかえれば、日本の長引くデフレの原因の最大のものは、人口減少、なかでも15~64歳の「生産年齢人口」の減少。そこをちゃんと見極めないと、日本の経済の再生はない、との主張。 私がアベノミクスに漠然と感じていた疑問もあまり的外れではなかった、の読後感。 ・急速な人口減が続く日本で、いままでのやり方で内需拡大、景気回復、経済成長など可能なの? ・モノが満ち溢れ、周りをいくら見渡してもあまり欲しいものがない中で、インフレを起こし消費拡大を図るなど可能なの? ・私たち年金生活者にとって、物価が上がり年金も貯蓄も目減りするインフレがそんなにありがたいの? これまでの延長線上のマクロ経済政策(じゃぶじゃぶの金融緩和、公共投資)で景気回復を目指す政策は、病気の診断を誤り、本当の病気の治療法とは違う処方箋を出しているようなもの。 じゅうぶん理解できているかどうかわかりませんが、そんな答えだったように思います。 それはそれとして、今回のメインは「里山資本主義」 「里山資本主義」というこの馴染みのない言葉は、「マネー資本主義」に対置する著者たちの造語です。 「マネー資本主義」とはいうまでもなく、今の世界を支配している経済の姿で、すべてをお金で量り、その最大効率を目指すと幸福が得られるという考え方。その経済は必然的に国境を越え、世界を一つにし大規模化、集中化、マッチョ化を目指す。ボーダーレスなグローバル資本主義ともいわれる通り。 しかし、それが行き過ぎ、まやかしが露呈し、ほころびが見え始めて、多くの人が意識上、意識下的にも不安を感じ始めている。たとえばリーマンショックや、東日本大震災・福島原発事故。 後者では今の我々の大規模化された生活インフラ―電気、燃料、食料・水供給システムなどの意外な脆弱さが露呈した。それほど意外でもない? 東南海・南海連動地震・津波が太平洋ベルト地帯を襲ったらどうなるのだろう? 「里山資本主義」がどんなものかはおいおい明らかになると思うが、多くの原理主義者のように著者たちは「マネー資本主義」をやめて「里山資本主義」に宗旨替えをしろ、といっているのではない。そんなことは急には可能ではない。しかし「マネー資本主義」の行き過ぎ、弱点、将来不安を補完する 保険 として、バックアップシステム、サブシステム として当面は機能し、その後はより大きな比重を占めるようになるはず。 具体的には、「里山資本主義」は「マネー資本主義」の発展から取り残された地方ほど進んでいる。 それまでお金を払って廃棄していた端材、鋸くずなどで発電し、自家消費し、余った電気を売電する製材所。またそうした廃材をペレット化し、ストーブや農業ハウスのボイラーに活用する。捨てる石油ペール缶を使って作った「エコストーブ」で、木屑を燃やし煮炊きをする運動。耕作放棄地を活用し、農産物を作り自給、あるいは出荷し、またそれを原料に六次産業化[一次産業+二次産業(加工製品化)+三次産業(販売・サービス)]する地域起こし。建築に革命を起こす?、高層ビルも建築可能なコンクリート並みの強さの集成材の開発・実用化の動き、などなど。 これらが、なぜ「里山」資本主義か? すべてこれまでマネー資本主義のもとで見捨てられていた里山・里地を再活用する経済活動だから。 それではなぜ、「マネー資本主義」に対置されるのか? マネー資本主義で疎外されていた地域ほどチャンスが大きいから。 また「里山資本主義」は、往々にして「マネー資本主義」に対して反対に働く。たとえば、それまでお金を払って廃棄していた廃材を使って発電し、自家消費したのではお金を介した経済活動にならず、マネー資本主義の最重要指標GDPにマイナスに働く。またエコストーブで、拾ってきた木屑で煮炊きをすれば、お金を払うガスや電力を使わず、これもGDPをマイナスさせる。さらに米や野菜を作り、自家消費をすれば、これもスーパーから買う食材が減り、GDPをマイナスにする。 しかしそれによって地方が受け取る恩恵、そこに住む人々の安心感、満足感向上ははかりしれない。 地方の疲弊、それは地域にお金が入って来ず、出ていくばかりなのでますます疲弊する。電力、油やガスの燃料などははるか遠くで発電、精製され送られてくる。それを地方で使用すればそれに払ったお金は都市の電力会社や石油会社、ガス会社、果てはアラブの産油国や天然ガス、ウランの輸入元に流れ出ていくばかりである。 それが里山から得られる木屑やペレットなどでまかなえばお金は出て行かない。しかもペレットなどで利用すれば、それを加工、流通するために地方に雇用が生まれ、お金がその地方の中で回る。さらに里山から生産される集成材で鉄やコンクリートに代わる住居やビルが作られるようになると、林業が復活し、ますます地方が活性化し、元気が出る。副産物の端材も多くなりますますバイオマス発電、地域暖房などの可能性も出てくる。 また地域の人々の満足度も上がるかもしれない。都市では味わえない安心な、地産地消のおいしい農産物、おいしい水、おいしい空気。それよりも里山・里地の自然を相手に体を動かすこと自体が楽しく(大いに個人の主観の部分もあるが)、健康に良い。我田引水になるが、私など里山手入れも、菜園も体を動かす楽しみと、自然がストレートに応えてくれる達成感でやっている。その満足感はゴルフなどより余ほど大きいのでゴルフは止めた。さらには地球環境に貢献しているという大義名分、使命感も生き甲斐に通じる。 もっと大きい視点からいえば、この里山資本主義は、日本のエネルギー安全保障、食糧安全保障からも意義は大きい。日本のエネルギー自給率は4%、食料自給率は39%。マネー資本主義の最終形?TPPでますます自給率は下がるかもしれない。そうなった後に、何らかの事情でもしそれらの輸入が途絶えたら? 里山資本主義がマネー資本主義の保険、バックアップシステムというのは、そうした意味合いがある。 一点集中大システムの原発、火力発電が止まっても、地域それぞれの小システムはしなやかに生き続ける。大都市の生活はマヒするかもしれないが、エネルギーも食料も自給できる地方は涼しい顔? 著者たちによると、ことに大震災後、里山資本主義的動きが、各地で澎湃と起こっているという。 そして、これは著者たちもあまり触れていないが、里山資本主義は化石エネルギーからバイオマスエネルギーへ代替えの意味合いも強いから、資源問題、地球温暖化問題での意義も大きい。太陽が輝く限り、バイオマスは再生され続ける、それを燃やしても二酸化炭素は増えない。 私が家庭菜園をやるのは、野菜をスパーから買わなくなるから、GDPを下げる。たまには余ったものを他人にあげるから、その人のスーパーからの購買活動も邪魔している。マネー資本主義者から見れば反社会行為? だがそこから生まれるお隣さんとの絆が深まるのも捨てがたい。 しかし苗代や肥料代と採れる野菜はどちらが高い? 苗代や肥料代、鍬代の方が高ければ、GDPを上げる。 まあそんなことは考えず、楽しいから生き甲斐でやっているだけだが。 最近、私は高齢者の「きょういく」「きょうよう」の大切さを声高にしているが、この本でもう一つ面白い言葉を見つけた。 「わしゃー、のうなんかしょうよ」 「私は、脳軟化症」ならぬ「皆んな、のう、何かしよう よ」 地方の元気な、ある高齢里山資本主義者の言葉。
by jo-toyo
| 2013-08-08 20:54
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