このブログのサブ・タイトルを「自然に親しむ、
環境問題を考える場―を提供します」と銘打っていますので、たまには環境問題にも触れてみましょう。
山笑う季節、山野はどこも緑の旺盛な生命力に溢れています。今回は、植物の生長と地球温暖化がテーマ。
メグスリノキの芽吹き:カエデ科 ぶら下がるのはつぼみ。樹皮を煎じて洗眼薬にするので、この名がある。 背景はケヤキ 与野公園 4月24日
メグスリノキ。
カエデ科といいながら、大きいものでは20m近くにもなります(東京・小石川植物園にも大木がある)。そのメグスリノキだけでなく、すべての植物が、今、さかんに陽光を吸収し光合成(炭酸同化作用)をして、生長を始めています。
さて、この芽を伸ばしたり、枝や幹を太らせたりして体をつくるための原料は何でしょうか。
いうまでもないでしょうが、メインが
炭素(C)です。植物の体の半分(乾燥重量の)は、炭素だといわれています。20mのメグスリノキは何トンにもなるでしょうが、仮に10トンとすると、その半分5トンが炭素ということになります。
その炭素は、どこから調達するのでしょうか。
これもいうまでもないですが、大気中の
二酸化炭素(CO2)からです。新緑が進む北半球の春から夏になると、大気中の二酸化炭素濃度は確実に下がるといいます。数値は忘れましたが、明らかに北半球の植物の吸収により春から夏に下がり、秋から冬には上がるのです(北半球は大陸が多く、森林も多い)。
5トンのメグスリノキは、炭素をそれだけ閉じ込め、大気中から減らしたのです。
といっても、大気に二酸化炭素の形で存在する「無限」と思われる炭素、植物の吸収くらいで大した影響などないのではないか、皆さんはそう考えているのではないでしょうか。
実は、私もそう思っていました。
しかし勉強をしてから、その考えは変わりました。というのは、大気中の炭素は、それほどの量でもないのです。
大気中に存在する炭素量は7600億トンと計算されています。一方それに対して、地球上の森林が貯えている(森林土壌中も含め)炭素量は、11450億トン、大気中の1.5倍もあるのです。つまりは、今の66%(1÷1.5×100)森林が多く吸収して閉じ込めれば、大気中の炭素は無くなり、逆に全部を燃やすなどして放出すれば、2.5倍になります。それくらい植物(森林)の吸収・放出は、大気中の炭素量に影響があるのです。
上に大気中の炭素量は大したことないといいましたが、濃度でいえば、370ppm、つまりパーセントでいえば、わずか0.037%です。酸素が21%ですから、オーダーが数桁違い、その少なさが解ります。
この希薄な二酸化炭素濃度ですが、しかし少し変わるだけで大変なのです。この温室効果ガスと呼ばれる二酸化炭素が、産業革命前の19世紀末には290ppmだったのが、いまでは370ppm、30%も上昇しているのです。
それが地球温暖化をもたらしているのです。しかも石油の大量使用などでいまでも年々増えつづけています。
森林を増やせば吸収して減らせるのですが、その森林も地球全体で毎年1500万ヘクタール、日本の面積の40%近くが減っていっているのです。
つまりは石油など化石燃料の大量使用と森林の減少で、ダブルパンチで二酸化炭素濃度は上がり続け、地球温暖化は進んでいるのです。今世紀半ばには、600ppmになる恐れがあるといいます。
地球温暖化防止のためには、化石燃料の使用を減らすと同時に、森林を増やしていかなければならないのです。
地球温暖化については、まだまだ語るべきことが残っていますが、今回はここまで。
この冬は厳冬だったから、温暖化は終わって寒冷化に向かっているのではないか?
そうではないようです。単にシベリア寒気団を運ぶ偏西風の蛇行で日本などが寒かっただけのようです。
偏西風が蛇行するということ自体、地球規模の異常気象の兆候ではないでしょうか。