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2006年 04月 23日
今回は、山野でも街なかでもどこでも見られる普通の木・アカメガシワという木についてウンチクを垂れてみましょう。
新芽が赤くてそれなりに目にもつきますが、あまりあり過ぎてか逆に注目をされない木ですが、なかなかどうして、語るべきウンチクに溢れています。「非凡なる凡人」になぞらえていえば、「非凡なる凡木」。 「カシワ」といいながら、ブナ科ではなくトウダイグサ科という耳慣れない科の落葉高木。写真はまだ幼木ですが、5~10mくらいになります。 どこにでも見られるその理由は、典型的な陽樹であるということ。更地になったりした明るいところにまず最初に入ってくる木です。こうした性質を持つ木を、特にパイオニア・プラント(先駆樹種)といいます。だから森が伐り開かれたり、掘り返さりたりする都市近郊に普通に見られるのです。 秘密はまず、その種子の持つ独特の性質(戦略)にあります。 それを、これまた専門用語でシード・バンク(埋土種子)戦略といいますが、種子が地に落ちても、陽当りが悪く地温が上がらないと土に埋もれたままいつまでも発芽しないという性質を持っています。例えば上空を他の樹木などで遮られて日陰になっていると、何十年でも土の中で眠っています。逆にいえば、上空が開けて陽があたり地温が高くなると、いつでも発芽してくるのです。 直径4mmほどの小さい種子をたくさんつけ、ばら撒いておいて、こうして他の樹木が伐られたり、更地になったりすると、どこにでも生えてくるのです。もちろん陽当りのいいところに落ちればすぐにでも発芽します。 二つ目のウンチクは、その葉のつけ方です。 これも、陽樹としての生き方に関係する驚くべき戦略です。 まず、葉柄(枝と葉をつないでいる柄)をどこまでも?伸ばすという芸当です。上の写真をよく見てください。下の葉ほど中心から離れて長く突き出ています。そうです下の葉ほど葉柄を長く伸ばすのです。 ふつうの植物では、葉柄の長さはだいたいその種(しゅ)で決まっています。例えば、コナラとミズナラの見分け方のコツは、葉柄の長さです。1cmくらいあればコナラ、ほとんど無ければミズナラというように。 ところが、このアカメガシワは、一本の木でもさまざまな長さの葉柄があります。私は30cmを超えるものまで確かめています。 なぜ、このように長さを変えるか? もうお解りでしょう。太陽の光をできるだけたくさん集めるためです。その理由は、くどくどいうまでもなく、上の写真をみれば皆さんも理解できるでしょう。どの葉も光を受けています。 陽光を集める芸当は、それだけではありません。 葉を、144°の角度でで次々に出していくという幾何学を考え出しているのです。 同じところのすぐ上に次の葉を出したのでは、下の葉は上の葉の日陰になります。そのために144°づつずらすという手を編み出したのです。葉が重ならないで、見事にあいだあいだに入っています。 2回転して5枚上の葉がようやく真上に来ます(それも葉柄の長さが違いますから重なりません)。これも上の写真を見れば、それがいかに陽光を集めるのに有効か、理解できるでしょう。 皆さんは、このアカメガシワが編み出した高度な幾何学が解りますか。 360°×2÷5=144° すべては、陽樹としてすばやく生長するために、前回にお話しした「因果の逆転」が生み出した芸当です。 まだまだウンチク話を秘めています。 新芽が赤いのは、葉自体が赤いのではありません。赤い毛をいっぱい付けているからです。今度アカメガシワを見つけたら、赤い葉を一枚失敬して爪でこすってみてください。毛が取れた後は緑の葉です(左の写真)。新芽を出してから時間がたってくると、自然に毛が取れてふつうの緑の葉になるのです。 なんでそんなことまでして、わざわざ新芽を赤くしているのか? 私は知りません。 「アカメガシワ」という名前だから? それこそ因果が逆というものでしょう。 そして、さらなる葉の秘密。 アカメガシワの葉には葉柄につながる近くのところに二つの蜜腺を持っています(上の写真の緑の葉の二つの茶色い点)。葉をよく見ていると、アリが這っていることがよくあります。蜜を舐めに来るのです。 なんのためにそんなことをしている? アリを飼って他の害虫から身を守ってもらっているのではないか、といわれています。 またこのアカメガシワは、別名を五菜葉(ゴサイバ)、菜盛葉(サイモリバ)とも呼ばれます。大きい葉は、昔は食べ物を盛る器の代わりとして使われました。 そのほか、同じ葉が民間薬、肥料、染料に使われるなど、多芸多才。まさに「非凡なる凡木」です。
by jo-toyo
| 2006-04-23 07:23
| 植物
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