息子たち夫婦が家に来てくれましたので、私たち森づくりボランティア集団が手入れをしているフィールドの新緑の森林浴に連れて行ってやりました。
木洩れ日の気持ちのいい林間です。林床には、かわいい
フデリンドウ が。
帰りに、先日観察会を行った
田島ヶ原サクラソウ公園 に寄ってきました。オギなど他の草本が伸びてサクラソウが隠れ始めています。しかし花はまだまだきれいです。
ところで今回は、先の観察会のために勉強した
サクラソウの秘密 についてのお話。
サクラソウにはよく見ると二つの花のタイプがあります。
よく見てください。
左は、右のような、中心の「サクラソウの目」の中に虫ピンの頭のようなもの(雌しべの柱頭)が見えません。瞳の光彩のような形しか見えません。
専門的に、左が「
スラム(織物の切れ端)の目=短花柱花」、右が、「
ピンの目=長花柱花」と呼ばれます。
どうして、こんな二つのタイプがあるか?
それは、
自家受粉を避けるためのメカニズム=異型花柱性 といいます。左の花どうし、右の花どうしでは受粉しにくいようにしているのです。他のタイプ=他の個体との間で送受粉、つまり遺伝子の交換をした方が「種」として強くなるための、サクラソウの工夫です。
その秘密は、次の通りです〔鷲谷いづみ著「サクラソウの目」(地人書館)より〕。
ハナバチが左の花の蜜を吸いに嘴を差し入れます。すると嘴の根元の方に花粉が付きます。そのハナバチが右の花に飛んでいって蜜を吸います。するとその花粉の付いた嘴の位置がちょうどピンの頭のような雌しべ(柱頭)に触れます。めでたく受粉です。右の花の蜜を吸ったハナバチの嘴は先の方に花粉を付けます。後のプロセスは同じです。
同じタイプの花どうしでは花粉の付いた嘴の位置と雌しべの位置が合いません。お解り?
この異型花柱性は、種子植物の中でも珍しい繁殖のしくみで、サクラソウが永い時間の中で工夫をしてきた秘密だそうです。