先日の
浅間隠山(あさまかくしやま) 登山の途中、標高1500mくらいのところで、見事な
ミズナラ二次林 を通りました。
登山道の両側は、同じくらいの樹齢の
ミズナラのほぼ一斉林。
ミズナラはコ
ナラに近いが、関東周辺では1000mを超えるとミズナラが多くなり、1200mを超えるとミズナラだけとなる。ここは、先にもいうように1500m近いので、ミズナラと考えて間違いない。
どうして二次林だと解るか?
二次林とは、もとあった林が伐採など撹乱(破壊されること)を受け、その後に出来上がった林のこと。ほぼ同じ大きさの樹が揃っていることでも解るが、このような株立ちの姿で解る。
これは、もとあったミズナラが地上近くで伐られ、その切り株から萌芽したからだ。同じ時期に一斉に伐られたから、同時に萌芽し、きれいに大きさの揃った樹が並んでいる。
これから多くのことが読めてくる。
ここは数十年前(50年くらい前?)まで、この近くの村落の生活を支えた薪炭林だった、南を受けて日当りのいいこの一帯はいい薪炭林だったに違いない、・・・。
コナラやミズナラは(クヌギも)、薪炭材に最適。材が堅く、火持ちがよく、また火力も強い。また伐採してもその切り株から萌芽し(萌芽更新という)、放って置けば、また林になる(実際の薪炭林では、いっぱい萌芽したひこばえの中から2~3本を残し、他を切り取る―この管理を「
もやわけ」という。後にもいうように、この林は50年くらい前に薪炭林として使われなくなり、管理を放棄されたから、先の写真のように一株から十数本も育っている)。
ちゃんとした薪炭林の場合には15~30年くらいで伐採し、管理を繰り返す。
昭和40年くらいまで、縄文以来、日本人の生活はエネルギー面から、これらコナラ、ミズナラ、クヌギなどが支えてきた(西日本では、アカマツが加わる)。15~30年周期で伐ってもまた更新してくる林は、打ち出の小槌のような、持続可能なエネルギー源。
しかし、そのころ起こった燃料革命(石油など化石燃料による)によって、薪炭はほとんど消費されなくなった。そのため、全国の薪炭林が利用されなくなり、放棄された。
そこから、多くの問題が起こっている。
①日本人の原風景である、里山の懐かしい景観が失われた。
②里山が破壊され、その地の固有の生態系が壊れ、生物多様性が失われようとしている。
③持続可能なエネルギーである薪炭から、持続不可能な化石燃料に代わり、資源の枯渇、地球温暖化など地球の危機をもたらしている。薪炭であれば、二酸化炭素を出しても、次に育つ樹が吸収してくれるから大気中の量は増えない。
④山村が崩壊した。
もっと直接的には、こんな問題も起こっている。もう伐採されなくなったナラ林は、樹が老齢化し病害虫への抵抗力がなくなり、全国で ナラ枯れ病 が頻発し始めた。これは、松喰い虫のナラ版。アカマツ林も薪炭林として更新されていれば、松枯れ病も起らなかった?
山を登りながらミズナラ林一つから、こんなことを考えるも楽しい? しんどい?