3月22日に開花宣言したわがマンションのソメイヨシノも、一週間以上経ってようやく3~5歩咲き。開花後一週間で満開が普通だが、今年は開花は早かったものの寒の戻りで一向に満開に進まない。
やはり日陰のコート右側が開花が早く進んでいる(その経緯は「No.0435 仮説は間違っていなかった!」参照)。
この桜の下を散歩していると、花吹雪ならぬ、花が一輪ごとストンストンと落ちてくる。その下の地面を見ると、こんなに。なぜか、手前の桜の木だけが一番多い。(ちなみに、正面が私の住む棟のエントランス)
この落花狼藉(本当の意味は、意味深。ここでは「せっかく咲いた花を落とす乱暴」という字義通りで使う)の犯人は誰か?
このブログで、その話はもう書きました(「
No.0010 スズメも文化を持つ」2006/4/10)。
関東では、花の盛りは過ぎましたが、こんな光景を見られた人も多いのではないでしょうか。
風もないのに、花が散る、しかも花びら一枚一枚ではなく、一輪の花がそっくり落ちてくる。それは、スズメの仕業なのです。
今回は、趣向を変えて、動物の話。スズメも文化を持つという話です。
ところで、「文化」とは何でしょう。
それは、いろいろ定義もあるでしょうが、一つは、「本能」に対する言葉で、「後天的に獲得して継承されるもの」とされます。
多くの動物では、遺伝子にプログラムが刷り込まれていて、その命令どおりに行動します。他の魚がフグを食べないのも、草食動物がトリカブトを食べないのも、遺伝子の命ずる本能によるのです。(「文化」ばかりを肥大化させ、頭でっかちになった人間は、「本能」を失ってしまったがゆえに、フグを食べて死んだり、毒草に中毒したりするのです)
ところが、スズメの桜花落しは、本能ではないといいます。
あるとき、あるスズメが、何かの拍子でか、あるいは他の鳥かなにかのするのを見て真似したのか、花の根元を食いちぎってみたのです。そうするとなんと甘くて美味しいではないか!
それ以来、その新発見スズメは盛んに食いちぎって花蜜を盗み始めました(ミツバチのように花粉の伝播に貢献することなく、ただ蜜を盗むことを「盗蜜」という)。
それを見ていた他のスズメが真似をし始めました。あるいは何らかのコミュニケーション手段で伝えたのかもしれません。こうして全国のスズメが食いちぎるようになりました。
このように経験を記憶し、伝達し、継承していくのを、「文化」といわずして何といえましょう。文化は人間だけが持つものではないのです。
しかし、このスズメの文化も、本来の自然にはないソメイヨシノで春の日本を埋め尽くした日本人の文化が生み出した「文化」なのです。
こうは書きましたが、その後も疑問を持ち続けていました。
桜の花には、スズメ以外のヒヨドリ、メジロなど他の小鳥もよく集まり、餌としている。スズメだけが真犯人ではないのではないか?
しかし、やはり真犯人はスズメでした。
証拠をお見せしましょう。エイプリル・フールではありません。
これは、
ヒヨドリ。
彼らは細長い尖った嘴で花の中心から蜜を吸っているだけです。あるいは花粉も食べているのかもしれません。昆虫(ミツバチなど)にとって花粉は高栄養食糧なのです。
これは、
メジロ。
写真には写っていませんが、やはり花の中心に嘴を差し入れていました。メジロが花の蜜を吸うのは、ツバキなどでもよく見られます。
それに対して、これが、
スズメ。
写真はピンボケですが、明らかに花を食いちぎっています。嘴の短いスズメは、花の中心に嘴を差し込んでも蜜に届かないのかもしれません。それより、籾殻なども砕いて食べる強い嘴を持った彼らは、食いちぎる方が確実?
その通り、落ちた花を見ると、蜜の在り処が食いちぎられています。
スズメが真犯人に間違いありません!
スズメが狼藉した桜花を集めて遊ぶ子どもたち。