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2017年 05月 01日

No.1360 植物はなぜ薬を作るのか? その②

 しばらくブログ ネタがあったのでその②がずいぶん日にちが空きましたが、『植物はなぜ薬を作るのか?』の続編―その②です。
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 植物は、己れを食害しようとする動物、取り付こうとする病原菌、競合する同じ植物の敵、それらの攻撃から能動的に自らは動いて逃げることが出来ないため、その種独特の二次的(特異的)代謝産物―化学防御戦略のための強力な化学物質を、その進化の過程の中で作り出してきた。その防御のための化学物質がたまたま人間の薬として役立った。

 しかしよく考えてみれば、なぜそれらが人間の病気にも効く薬となるのか?

 それは、それらの物質(化学化合物)の「生活活性」というものの働きによる。この本の著者は、それを毒草・ハシリドコロの化合物で説明する。
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 ハシリドコロ:なす科

 ハシリドコロが作り出す二次的(特異的)代謝産物は動物の副交感神経を遮断するという強い「生活活性」を有する。それを取り込んだ動物は、瞳孔が拡大して目が見えなくなったり、神経中枢が興奮し、目眩や幻覚症状を呈する(ハシリドコロはもちろん人間にとっても毒草で誤ってを食べると、「そこらを走り回る」というところからその名がついたといわれる)。
 しかしその生活活性を利用して適度な量を使うと、瞳孔を拡大させたり、痙攣を鎮める薬となる。
 このようにそれを食害する虫や動物から身を守るために作用する生活活性が、使い方をさえ工夫をすれば人間の薬として役立つのだ(もっと根本的にいえば、地球上のあらゆる生き物―生物か物質かも判別のつかないウィルスももっとも進化の進んだヒトも地球上に生まれたたった一つの生命から分化した、つまりは生命のシステムが同じ―それは遺伝の仕組みが共通していることから解る―だから他の動物に発揮する生活活性が人間にも効くというところにあるのではないか、と私は考えるがいかが?)。

 それでは、植物からどんな医薬品が実際に作られているのか? 具体的に見てみよう。

 まずは鎮痛剤モルヒネ
 これはケシからアヘンが作られ、そのアヘンから抽出される。このモルヒネが近代医薬の最初のものだという。1804年ころドイツの薬剤師ゼルチュルナーという人がアヘンからモルヒネを単離した。様々な化合物が混ざった生薬から特定の有効成分を取り出す「単離」に初めて成功したのがこのモルヒネであるという。
 このモルヒネから特定の薬効化合物がどのような化合物であり、なぜ薬効があるのか、が解明されるようになって近代医薬の歴史の幕が開いた。

 続いて、これも皆さん良く知っている鎮痛剤アスピリン
 これはヤナギの樹皮から作られたが、その効能は紀元前から知られていたという。アスピリンという医薬製品が登場したのは約120年も前ドイツのバイエル社からだというが、実はそれがどうして鎮痛剤として効くかは70年以上解らなかった。ようやく1982年に解明され、ノーベル生理学・医学賞が与えられたとのこと。

 次は、今日もっともホットな抗がん剤
 まずは、ニチニチソウから作られるピンカアルカロイド。 この化合物はがん細胞の分裂を阻止する効能があり、1960年代から白血病や悪性リンパ腫の治療に用いられている。
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 ニチニチソウ:きょうちくとう科

 抗がん剤その2は、タイヘイヨウイチイから作られるタキソール。アメリカの国立がん研究所が1967年に発見したという。乳がんや肺がん、胃がんなどの治療に使われる。
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 日本のイチイ:いちい科

 その3は、キジュ(喜樹)から作られるカンプトテシン
 中国原産のキジュという木のエキスから、やはりアメリカの国立がん研究所が発見した。しかしこの場合はその化合物からヒントを得て人工的に作り出された、少し化学構造の違う誘導体(植物が持つもともとのリード化合物にヒントを得て作られる構造の近い化合物)が実際には抗がん剤として使われているという。

 その4は、ポドフィルム属植物から作られたポドフィロトキシン
 ヒマラヤや北米に自生するメギ科の多年草のこの植物の薬効は数百年前から下剤や駆虫剤として使われてきたが、約20年前スイスの製薬会社サンドがその薬効成分の誘導体を数多く作りその中から抗がん剤として効能のあるポドフィロトキシンを見つけ出し製品化した。

 ことほどさように、植物の科学防御戦略のために作られた化合物が様々な現代医薬品として役立っている。今日でも新薬の約6割は、植物を中心とする天然物から作られたり、ヒントを得ている。

by jo-toyo | 2017-05-01 19:19