森林インストラクター・環境カウンセラー 豊島襄の『林住日記』(旧題:フィールド・ノート):生態系・環境
2009-11-10T07:01:05+09:00
jo-toyo
林住期を、より充実したものに!
Excite Blog
No.0203 あなたはどう考えますか?
http://forestjo.exblog.jp/5665746/
2007-06-20T07:48:00+09:00
2007-06-25T06:38:08+09:00
2007-06-20T04:44:52+09:00
jo-toyo
生態系・環境
それは、気の遠くなるような長い時間をかけて成り立っている地域の生態系に、余所者が入ってきて、その貴重なバランスを崩し、生態系を破壊するだけでなく、場合によっては、人間や、農林水産業まで、幅広くにわたって悪影響を及ぼす場合があるからです。
そうした外来種の中でも、特に繁殖力が強く、害をもたらす恐れの強いものを、「特定外来種」として指定しているのです。この近辺で見られる植物では、アレチウリ、オオハンゴンソウ、オオキンケイギクなどです。
動物では、カミツキガメ、ブルーギル、大口バスなどが有名です。
そして、指定された生物については、法律で、次のように決められています。
飼育、栽培、保管及び運搬することが原則禁止されます。
※研究目的などで、逃げ出さないように適正に管理する施設を持っているなど、特別な場合には許可されます。
ところが、その「特定外来種」のオオキンケイギクが、公園で平気で栽培されている!
場所は、埼京線に沿った高架下の公園、しかも管理者は、(財)○○○緑地公園協会、一種公的な団体ではないでしょうか。
しかも、ご丁寧にプレートまでつけている。「各地で野生化も見られる」
さっそく私は、外来生物法の所轄の環境省・関東地方事務所に電話してみました。
「環境省として、栽培の許可を出しているのですか?」
「いいえ、公園に栽培の許可をだすことはありません。情報をありがとうございました」
○○協会という一種の公的機関でさえ、外来生物に対して、この程度の認識なのです。
このように、きれいな花です。
この公園で見た人は、タネや小生えを持って帰って、自分の庭に植えるかもしれません。 一つの花から、これだけのタネを作ります。種には翼のようなものがありますから、風で飛んでいくのでしょう。
その旺盛な繁殖力は、近くに、いっぱい小生えを撒き散らしています。
多年生ですから、この小生えは、来年確実に花を咲かせます。
ある地方の、オオキンケイギクが河川堤防に大繁殖している所で管理者が除去をしたところ、地域住民からクレームが入ったといいます。
「どうして、あんなきれいな花を刈ったのですか!?」
こうして、外来種は日本全国に蔓延し、手に負えなくなるのです。日本の野山は、外来種で席巻されつつあります。
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No.0176 外来植物除去プロジェクト
http://forestjo.exblog.jp/5398357/
2007-05-17T07:55:00+09:00
2007-05-18T04:27:19+09:00
2007-05-17T07:55:53+09:00
jo-toyo
生態系・環境
皆さんは、このような活動に対して、どのようにお考えでしょうか。
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NPO法人○○○○ プロジェクト企画提案書
【テーマ名】
「きれいな自然、美しい心」―「美しい環境」づくり
―河川、里山、公園などからの外来植物の除去とクリーンナップ―
【概要】
いま、生物多様性の保全が、大きなテーマになっている。日本でも、「生物多様性国家戦略」が、旧、新と二度にわたり策定され、取組まれている。また、「外来生物法」(正式名―特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律)も策定され、さまざまな取り組みもなされている。さらに国では、「21世紀環境立国戦略」も打ち出されている。
植物では、アレチウリ、セイタカアワダチソウ、アメリカセンダングサ、オオブタクサなど、動物では、ブルーギル、大口バスなど外来生物(いずれも「特定外来生物」「要注意外来生物」指定)が侵入し、日本固有種の存続を脅かし、生態系をかく乱している。
外来生物のなかでも、動物については動く相手のため特殊な活動が求められ難しいが、植物については、その意味では除去は、簡単である。
当プロジェクトは、地域のNPO、自治体、国機関、地域企業の連携の下、地域住民の環境意識の涵養と、実際的な除去活動、併せてゴミ撲滅などを目指すものである。
【プロジェクトを行うことのメリット(会や会員、まちにとって・・・)】
①地域住民への環境意識の涵養
②生物多様性、地域生態系(日本固有種)の保全
③美しい自然の回復―美しい心は、美しい自然に宿る
「美しい国」づくりは、「美しい地域」づくりから、美しい地域づくりは、「美しい心」づくりから、美しい心は、「美しい自然」づくりから。
地域自然の喪失は、心の荒廃をもたらし、文化アイデンティティの喪失にもつながる。
④地域イメージの向上
⑤地域の活性化
【具体的な活動予定(アクションプラン)】
①環境講座の開催
②具体的な外来種除去運動、除去イベントの実施、固有種の復元
除去対象は、あくまで「外来生物法」に指定される「特定・要注意外来植物」
③将来的に里山の保全なども組み込む
④楽しいエコツアー、自然観察会などのイベントも組み込む
【課題や問題点(サポートを望むことなど)】
①NPO、自治体、国機関、地域企業のネットワークづくり
②活動資金の募集―補助金、賛助金
③エコツアー、自然観察会などの会費収入の確保
④河川法、公園法、私有地法などのクリアー
セイタカアワダチソウ(侵略的外来種ワースト100) オオブタクサ(侵略的外来種ワースト100)]]>
No.0163 森林浴がガンを予防する!
http://forestjo.exblog.jp/5105669/
2007-04-10T07:07:00+09:00
2009-05-18T17:39:53+09:00
2007-04-10T04:07:30+09:00
jo-toyo
生態系・環境
「森林浴がガンを予防する!」 その内容は、次の通り(2007.03.23 プレスリリースより)
1.森林浴がヒトNK(ナチュラル・キラー)活性を上昇させた(1日目43%、2日目56%)。
その理由は、以下の通りである。
1)森林浴が有意にヒトNK細胞数及び細胞内の抗がんタンパク質を増加させた。
2)森林浴が有意にストレスホルモンを減少させ、ストレスによる免疫抑制を解除させた。
2.NK活性の上昇において森林浴の持続効果が認められた。
森林浴の1週間後においてもNK活性は45%高く、さらに1ヶ月後においても23%高かった。
一方、一般の旅行によるヒトNK活性の上昇は認められなかったため、森林滞在が免疫能を高めることが分かった。森林からのフィトンチッドおよび森林浴によるリラックス効果がこの活性化に寄与したと考えられる。
森林浴コースは、我が国の森林浴発祥地である長野県上松町・赤沢自然休養林の森林セラピーロードとした。対象者は森林環境中に2泊3日間滞在し、森林浴前後に上記の項目を測定し、以上のことを明らかにした。
「ヒトNK細胞数及び細胞内の抗がんタンパク質」の増加という直接的生理効果にくわえ、ストレス解消による間接効果も指摘されています。ストレスがガンに関係することは、よく言われています。
皆さん、どしどし森歩きをしましょう。
森林そぞろ歩き 白神山地にて
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No.0153 外来植物除去プロジェクト
http://forestjo.exblog.jp/4910843/
2007-03-20T06:32:00+09:00
2007-05-11T16:36:44+09:00
2007-03-20T06:32:04+09:00
jo-toyo
生態系・環境
それは、「外来植物を地域から除去する運動を組織しよう」という提案です。
いま、全世界的に生物多様性の危機が叫ばれています。それは、開発などによって生育場所がなくなっていることも理由ですが、モノや人のグローバルな移動に伴って、ほんらいその地域になかった生物が移入し、地域の固有種を追いやって絶滅に陥れていることも大きな原因になっています。
そのため、日本でも平成16年、「外来生物法」が制定され、「有害外来生物を持ち込まない、放さない、広げない」の3原則、さらには除去が奨励されています。
動物では、有名なブルーギル、オオクチバス、カミツキガメなどですが、植物でも「特定外来生物」で、アレチウリ、オオハンゴンソウ、オオキンケイギクなど12種、「要注意外来生物」では、セイダカアワダチソウ、オオブタクサ(「No.0032 エイリアンいっぱい」で取り上げました)、アメリカセンダングサなど80種以上です。
特定外来植物:いずれも環境省HPから
アレチウリ:うり科
北アメリカ原産のウリ科の一年生草本で、生育速度が非常に速いつる性植物で、長さ数~十数mになる。群生することが多い。果実に鋭い棘を密生する。林縁、荒地、河岸、河川敷、路傍、原野、畑地、樹園地、造林地などに生育する。 オオハンゴンソウ:きく科
北アメリカ原産のキク科の多年生草本で、高さは0.5~3m程度にまでなる。中部地方以北の寒冷な土地に分布する。路傍、荒地、畑地、湿原、河川敷などに生育する。 オオキンケイギク:きく科
北アメリカ原産のキク科の多年生草本で、高さは0.3~0.7m程度。路傍、河川敷、線路際、海岸などに生育する。 いずれも、北アメリカ原産で、繁殖力強く、日本固有種を駆逐していっています。今に日本の原野も、アメリカに占領される?
企画書ドラフトを持って、先日は霞ヶ関の環境省・外来生物課に、昨日は埼玉新都心の環境省・関東地区環境事務所に話を聞きに行きました。
環境省でも推奨する運動とか、励まされて帰りました。
ところで、外来生物は、どうして法律まで制定して、目の敵にされるのでしょうか。それには、三つの理由があります。
①農林水産業への影響―動物では、農林水産物を食べる、植物では雑草として農産物の生育の邪魔をするなど。
②人の生命・身体への影響―動物では、毒があり噛みつく、刺す、植物では、オオブタクサのように花粉症をもたらすなど。
③在来の日本固有種を駆逐する、交雑して遺伝子を汚染するなど。
①②は、直接的な被害ですが、本当は③の被害がもっとも危惧されるのです。地域には、それぞれ固有種があり、それが生物多様性を支えています。生物多様性が高いほど、生態系が安泰であることはいうまでもありません。
それだけではなく、地域にそれぞれ固有の生物がいて、自然に特徴があって、ようやく健全です。経済文化ばかりでなく、自然までアメリカによるグローバル化では、あまりにココロ寂しいではありませんか。
皆さんは、運動に賛同していただけますか? 参加していただけますか?]]>
No.0132 へそ曲がり環境論
http://forestjo.exblog.jp/4455365/
2007-02-01T06:36:00+09:00
2007-05-11T16:32:09+09:00
2007-01-28T09:36:13+09:00
jo-toyo
生態系・環境
「環境問題を考える」と銘打ちながら、このところ、あまり取り上げていなかったので、今日は、ちょっとへそ曲がり環境論。
いまは、ガーデニング・ブーム。それはそれで、人々が植物に親しむ機会も増え、身辺に緑も増えて望ましいことに思えます。
ホームセンターなどに行くと、春のシーズンに向け、めずらしい花と緑が、色とりどり、所狭しと並べられています。
多くは、外国から持ち込まれているようです。なにか聞きなれない名前ばかりです。私は、森林インストラクターですから、自然植生には多少自信がありますが、園芸種については、よく知りません。 それらを、見ながら、ちょっと不安になった。
「これらが、逸出して、要注意外来植物になることは、ないのだろうか?」
考えてみれば、いま日本の野山を席巻している多くの植物も、園芸用に海外から入れられたものが、かなりある。セイタカアワダチソウ、ハルジオン、ヒメジオン、メマツヨイグサ(月見草)、今では、これらはもはや、多くの人が日本の固有種と思っているほど、あたりまえにどこにでもあります。
「それらも、今や、日本の野山を彩っており、それはそれでいいじゃないか」、そう考える人もいるかもしれません。
しかし、考えてほしい。それらは、本来、日本の固有種が占めていた、占めるべき場所を奪ったのであり、それだけ、固有種を追いやったのです。
事実、『外来生物法』でも、上のいずれもが、要注意外来生物種リストに挙げられています。
http://www.env.go.jp/nature/intro/y_kohyou_syokubutu.html
その一方で、フジバカマ、キキョウなど、日本固有種の絶滅危惧種が多くなっています。
その他、要注意生物種にはなっていませんが、ガーデニング植物が逸出して野生化している草花も、ツルニチニチソウ、ツタバウンランなど多い。
写真は、逸出を始めているヒメツルソバです。道端に逃げ出し始めています。
これらは、日本固有種のニッチ(生息場所)を奪うだけでなく、近隣種と交雑して、日本固有種の遺伝子を汚染する危惧も多くなっています。
動物では、タイワンザルとニホンザルが交雑し、ニホンザルの遺伝子が汚染されている事例が有名。
別に、私は国粋主義者ではありませんが、生物など自然までもグローバリズムでは、あまりに寂しいでのではないでしょうか。
今に多くの日本人は、日本の自然を詠った歌や俳句などを理解できなくなるかもしれません。生物のグローバル化は、固有文化の危機でもあるのです。だって、詠われた植物も絶滅すれば、誰も見たことがない、ということになりますから。
園芸植物業者も、愛好家も、そうした認識はあるのでしょうか。園芸植物業者は、売り上げ至上主義になっていないでしょうか。
せいぜい愛好者も、逸出しなように、よく管理して欲しいものです。もっと日本の固有種も、園芸に取り入れられないでしょうか。
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No.0126 森が荒れていく 遷移ということ
http://forestjo.exblog.jp/4380963/
2007-01-19T14:44:00+09:00
2007-05-11T16:30:52+09:00
2007-01-19T14:36:29+09:00
jo-toyo
生態系・環境
まさに森荒れなんとす。
いつかも書きましたが、雑木林が荒れるということは、遷移が進むということです。
下草木を刈って、遷移を止め、落葉高木だけを残すのが、雑木林。それを放置すると、常緑樹が育ってきて、やがて暗い常緑低高木の森に返っていきます。
関東周辺では主に、下のような常緑樹が入ってきます。
まずは、小鳥が喜ぶ実をつけ、食べて糞とともにタネを持ち込むものです。
シロダモ:くすのき科
常緑中高木。写真のように葉の裏が白いから「シロダモ」、「タモ」は「タブ」から転訛したといわれます。赤い実をいっぱい付ける。 アオキ:みずき科
常緑低木。もっとも暗い日陰でも育つグループ。やはり赤い実をつける。 シュロ:やし科
本来、南九州が自生地。温暖化の影響で関東でも平気で自生するようになった。いまに雑木林はシュロの林になる? ビナンカズラ:まつぶさ科
常緑つる性植物。別名を「サネカズラ」ともいう。房状に赤い実をつける。こうしてみると、小鳥は、赤い実を好むようですね。
タネが、どこかから転がってくる、あるいはネズミなどが運んでくるもの。
シラカシ:ぶな科
常緑高木。関東では、遷移の最後の極相林の優占種となる。 ヤブツバキ:つばき科
常緑の小高木。今頃、花が咲き、メジロがよく蜜を吸っている。 チャノキ:つばき科
常緑の低木。
こうして、このまま放置すると、この森は、高木のシラカシの下に、中高木のシロダモ、小高木のヤブツバキ、シュロ、一番下にアオキ、チャノキなどの、いずれも常緑樹の暗い森に、やがてなっていくはずです。
歩いていると、巨木というほどではないですが、めずらしいイヌマキ:まき科の大木に出会いました。
「さいたま市指定天然記念物「薬師堂のマキ」
高さ17m、目通り2.25m 幹の又に、シュロが生えている
明日は、草津でスノーシュー・イベント、また報告します。]]>
No.0093 エイリアンの跋扈シリーズ
http://forestjo.exblog.jp/3614586/
2006-10-23T04:24:00+09:00
2008-05-23T11:39:35+09:00
2006-10-23T04:24:48+09:00
jo-toyo
生態系・環境
お里のアメリカのどこかの州では州花となっているとかで、なるほど、その気で見れば、近くで見ても、遠くから写真のような群落で見ても、なかなかきれいな花です。日本でも、最初は栽培種として持ち込まれたようです。
しかし、その旺盛な繁殖力で日本の固有種を駆逐することから、外来生物法で要注意外来生物に指定されています。
たくさんのタネをつけ、また地下茎でも伸びていく、この両刀使いが繁殖力の秘密の一つですが、それ以外にも、恐ろしい秘密が明らかにされました。アレロパシー(他感作用物質)といって、他の植物の発芽や生長を阻害する化学物質を、まわりに撒き散らしながらはびこっていくのです。
この恐ろしいエイリアンぶりや、一時は花粉症の犯人とされ、嫌われたのですが、花粉症の犯人説は濡れ衣だったようです。この花は虫媒花なので花粉をあまり飛ばさないからです。
しかし、自然のしくみは奥深い。
それほど恐れるに足らない、とも言われ始めました。そのアレロパシーは、最初は、他の植物を駆逐するのですが、一面セイダカアワダチソウになって何年かすると、彼ら自身がそのアレロパシーの自家中毒(嫌地現象)によって衰えていくというのです。最終的には、また日本の固有種にとって代わられるというのです。
この情景は、その途中相かもしれません。日本の固有種・ススキが闘っています。
要は、パイオニア・プランツなのでしょう。更地ができれば、最初にまずはびこり、やがて消えていく、いわゆる先駆植物なのかもしれません。
今後、何年か、私は、この場所でその経緯を観察してみようと思っています。
しかし、安心してはいけません。日本固有種の同じパイオニア・プランツを駆逐してしまう恐れがあります。
栽培種を持ち込むにももっと慎重でなければなりません。このセイダカアワダチソウばかりでなく、栽培種が逸出してエイリアンとなっているものが数多くあります。ハルジオン、ヒメジオンなどもそうです。]]>
No.0077 エイリアンその後
http://forestjo.exblog.jp/3254851/
2006-09-05T20:00:00+09:00
2007-05-11T16:17:42+09:00
2006-09-05T20:00:14+09:00
jo-toyo
生態系・環境
5月に「No.0032 エイリアンいっぱい」で報告したさいたま市・秋が瀬公園にはびこる外来植物―オオブタクサ:きく科のその後です。
見てください。これで一年生の草です。横の人と見比べても5mはある? 北アメリカ原産のエイリアン。どうしてアメリカ原産のものは、なんでもこうバカでかいのでしょう。
左は、その群集、あたり一面ヤブ状態です。右がその花、いま花時です。花粉は花粉症の原因とされます。この花穂がつける実で毎年、旺盛な繁殖力を示します。葉がクワの葉に似ているから一名をクワモドキ。
いまに公園中が席巻されてしまいそうです。これでは日本固有の奥ゆかしいサクラソウやアマナなどは蹴散らされてしまいます。
公園の木陰では、なにか冒険活劇の撮影が行われていました。]]>
No.0075 重慶便りに思うこと
http://forestjo.exblog.jp/3234219/
2006-09-03T05:55:00+09:00
2007-05-11T16:17:03+09:00
2006-09-03T05:50:06+09:00
jo-toyo
生態系・環境
その重慶便りによると、当地はこの夏は大旱魃で、連日40℃以上、たまには44℃になることもあるといいます。
あまりに日中暑いので、会社を昼間は休みにして、夜勤体制に入っているとか。
これも異常気象の一つでしょうが、中国だけではありません。日本も、気象庁によると、この夏(6~8月)の天候のまとめを発表し、1時間に80ミリ以上を記録する猛烈な雨の発生頻度が、統計を取り始めた76年以降で最も高かった(19回)とのこと。また今、太平洋上には、昨年ニューオーリンズを襲ったハリケーン・カトリーヌ級の猛烈台風が日本に向かっています。
気象庁HPより
もううんざりする話題かもしれませんが、どう見ても地球温暖化の明らかな兆候です。
大気の温度が上昇すると、水蒸気の蒸発が増え、ところによっては豪雨が集中し、逆に少雨地帯では旱魃が進む。両極端に振れるといいます。
しのびよる温暖化の影響は、身近の植生にも見られます。シュロ。
日本には、葉が長く途中で折れて垂れるワジュロ(和棕櫚)と、葉が短く折れないトウジュロ(唐棕櫚)がありますが、このいずれも、昔は(昭和の始めまで?)、野に自生をしていたのは、九州南部でしたが、今では、平気で関東周辺でも野生化しています。昔は、野生で芽生えても冬の寒さで枯れていたのが、平気平ちゃらで冬越しし始めたからです。雑木林などでも、急速に侵入し始めています。 これは、葉が長いからワジュロ
日本が亜熱帯化してきているといいますが、その明らかな兆候です。いまに常緑樹だけになって紅葉も見られなくなるだけでなく、やがてヤシ科の植物だけになるかもしれません。]]>
No.0038 モザイク森林は、なぜ公益面でいいか?
http://forestjo.exblog.jp/2336819/
2006-05-29T17:54:00+09:00
2007-12-07T18:56:20+09:00
2006-05-29T17:54:33+09:00
jo-toyo
生態系・環境
あの「No.0035 遠野物語」では、舌足らずで、「なぜ、モザイク森林がいいか?」が良くは解らなかったのではないでしょうか。もう少し詳しくお話してみましょう。
遠野にて。このような里山風景を見ると、私など、なぜか懐かしさで涙がこみ上げてきそうです。また心が癒される気がします。皆さんはどうでしょうか?
それはさておき、このようなモザイク状森林が、なぜ公益的に優れているか?
森林の働きが、木材生産などの経済的機能と、公益的機能に分けられることは、「遠野物語」で話しました。
ここでは、後者の公益面について、より詳しくお話しましょう。
森林の公益的機能といわれるものには、次のような多くのものがあります。
①土砂崩壊・流出を防止する、②水をつくる、③地球温暖化防止など地球環境を守る、④大気浄化など快適な環境をつくる、⑤散策・森林浴など保健・レクリエーションに役立つ、⑥いい景観をつくる、自然を学ぶ場になるなど文化に役立つ、⑦生物多様性を守る、などなど。
このようにたくさんの働きがありますが、まず森林で特筆すべきは、これらの働きが、経済的機能を含めてみんな、バラバラではなく、森林が元気で豊かであればあるほど同時にもたらされるということです。森林は、一人二役どころではなく、一人多々役なのです。
その点で、適地適木で出来た森林が、どの木も育ちがよく元気もいいということで、まずはこの条件に合っていることはお解りでしょう。
それだけではありません。これは、針葉樹の人工林との比較になりますが、まず①②の役割には、一般に落葉広葉樹が優れています。落ち葉が多く、腐りやすいためふかふかの土が出来やすく、雨をよく沁み込ませ、それが水を貯めるだけでなく、土砂なども流さないからです。
落葉広葉樹が、芽吹きや紅葉で目を楽しませてくれ、またその明るい森は中に入っても気持ちがいいことは、前回もお話しました。つまり⑤⑥にも優れているのです。それに常緑針葉樹が混じった上の写真のようなモザイク森林は、その濃淡の対比で四季それぞれの美しさでも格別です。
もっと大きいのは、⑦の働きです。スギだけ、ヒノキだけの森が、蝶や小鳥にとって好ましくないのは、ちょっと考えただけでも解ります。その点、落葉広葉樹の森は、葉っぱを食べる虫や、その虫や木の実を食べる小鳥たちが多くなります。そして食糧が多いということは、必然的に大型の猛禽類、哺乳動物も多くなります。
また冬に落葉し林床の明るい広葉樹林は、「No.0015 スプリング・エフェメラル(春の妖精)」でも見たはかない植物たちにとっても天国です。
そして、これまた上の写真のように、色々な森がパッチ状にあることが重要なのです。あまり同じ森、なかでも針葉樹の森が広面積を占領すると、生きものたちの往き来が分断されます。行き来が分断されますと、動物たちの恋や植物の受粉がうまく行きません。ひいてはそれが、生き物たちを少なくするのです。
絶滅危惧種などが多くなっている今日では、わざわざコリドー(回廊)といって、広葉樹の帯を残そう、作ろうという動きさえあります。生物多様性が保たれることが、地球が豊かに存続する上で、非常に大切であることが解ってきたからです。
こういうと、あまりに針葉樹人工林を悪く言い過ぎましたが、それは木材生産上からも重要ですし、「No.0024 奥久慈の春・その2 間伐、枝打ちはなんのため?」で見た山林主の山のように、充分に手入れがされた明るい人工林では下層に落葉広葉樹も育ち、公益面でもあまり劣らない森になります。
一般的に言って、モザイク森林が、より理想的とされるのです。
今回は、「お勉強」を押し付けることになりました。謝々。]]>
No.0032 エイリアンいっぱい
http://forestjo.exblog.jp/2217325/
2006-05-19T03:07:00+09:00
2009-11-10T07:01:05+09:00
2006-05-19T03:07:33+09:00
jo-toyo
生態系・環境
以前、このノートで報告した時とは、およそ違って、もう鬱陶しいほどの緑です。鬱陶しい天気のせいもあるのかもしれませんが。
林の下草を見ても、鬱陶しい限りです。
というのは、エイリアンでいっぱい!
一昨年、「外来生物法」が制定されました。外国から来た生物で、日本ではびこり、カミツキガメや毒蜘蛛のように人に危害を与えたり、ブラックバス、ブルーギルのように在来の生物を駆逐するものなどの侵入を防止することを目的にした法律です。
上のような動物だけではありません。植物にも多いのです。
植物など、噛み付くのでもなく、他の生物を食べるのでもなく、放っておいてもいいではないか?
そんなものではないのです。外来種がはびこると、日本固有の植物が押しやられ、絶滅していく恐れがあります。また日本固有のものと交配して、遺伝子が汚染される恐れもあります。なかには、人に害を与えるものもあります。
秋が瀬公園でみられる一番の跋扈エイリアンは、まずこれです。
オオブタクサ:キク科 北アメリカ原産、1950年代侵入し、全国に広がる。ものすごい繁殖力で、一年草でありながら高さ4mくらい、大きいものでは6mになるものもあります。
その繁殖力で、日本古来の植物を駆逐していきます。田島が原では、日本サクラソウに害を与えているといいます。またこれと、この類縁のブタクサの花粉が花粉症をもたらすことは、もうよく知られています。日本の侵略的外来種ワースト100の一つ。
もう一つが、セイタカアワダチソウ:キク科 やはり北アメリカ原産 こちらは、皆さんもよく知っているでしょう。秋口に全国のあちこちを黄色く染め上げます。これも、日本の侵略的外来種ワースト100の一つ。
この植物も外来種だということを知っていますか?ハルジオンキク科、よく似たヒメジョオンも。いずれも北アメリカ原産。(見分け方は、ハルジオンの方は、蕾がうなだれる、茎が中空など)
秋が瀬公園も、この四つのエイリアンに占領されつつあります。日本は、植物でもアメリカの植民地?
私は、外来種を見かけますと、できるだけ抜き取っていますが、これらばかりは手に負えません。そのうち、一人ではダメなので、森林インストラクターとしてエイリアン撲滅運動を起そうか、と思っています。参加しませんか?
このままでは、日本の固有種はいなくなり、四季の風情はなくなり、俳句も和歌もオミナエシ、フジバカマ、サクラソウなどを詠ったものは理解できなくなる、季語からも消えてしまう?
そうなったら寂しい。]]>
No.0031 雨と森林
http://forestjo.exblog.jp/2196373/
2006-05-17T14:52:00+09:00
2007-05-11T16:01:36+09:00
2006-05-17T14:52:16+09:00
jo-toyo
生態系・環境
雨に濡れるエゴの花 マンション植栽にて
もう梅雨のはしりでしょうか。昨日、今日と鬱陶しい天気のためにフィールドに出ないので、今回は「フィールド・ノート」ではなく、「森林の働き」のエッセイです。
日本は、降雨量が多い、皆さんも知っているとは思いますが、どのくらいか?
日本の年間平均雨量1800mm、それに対してヨーロッパは半分以下の800mm、その他で極端な例では、大都市があるエジプト・カイロでは20mm、大ダムがあるアスワンでは、なんと0.7mmといいます。カイロの年間雨量は、日本では、しょっちゅう一時間もかからないで降ります。エジプトは、水を全面的に、 上流のスーダンやエチオピアに負っているのです。
雨が降ることを「悪い」天気というように、梅雨の長雨など特に嫌ですね。
しかし、この雨、雨の降らない所から見れば、これほど羨ましいものは無い。少雨地帯では、古来から雨の神様が祀られ、雨乞い儀式が真剣に行なわれてきました。世界遺産のペルー・ナスカの地上絵も、雨乞いに関係するのではないかと言われています。
雨は、豊穣をもたらすもの、気温の関係もありますが、例えば、植物の生長力は、日本はヨーロッパの十倍以上といいます。
旺盛な生長のタブノキの新芽 マンション植栽にて
「後は、野となれ、山となれ」、このことわざは、土地を裸にしてもすぐ森で覆われる日本だから言えるのです。ヨーロッパなどでも、森を壊せば、そう簡単には修復しません。
この雨を利用して育てられる稲は、小麦の、やはり十倍を超える単位面積あたりの収量があるといいます。日本が狭い島国で多くの人口を抱えて来られたのも、元をただせば、雨のお陰ともいえるのです。
しかし、一方、雨は大災害をもたらすことも多いですね。
特に日本は、造山(地殻プレートがぶつかることにより、山ができる)地帯にあり、山が脆く、かつ急峻です。オランダから来た明治時代のお雇い治水技師は、「日本の川は、川ではなく滝だ」といいました。大量の雨もすぐ海に流れ出てしまいますし、その時に山を崩します。
ここに、日本では特に森林が大切な理由があるのです。森林は、岩や土を根で抱きとめ、山崩れを防ぎます。また森林が作るふかふかの土は、大量の雨をスポンジのように吸い込み、徐々に吐き出します。洪水防止にも渇水防止にも働くのです。この水を調節する働きを「水量平準化」といいます。またそれを通じて、山崩れも防止します。
森林を裸にしたり、「No.0024 奥久慈の春・その2 間伐、枝打ちはなんのため?」で見たような暗い林を増やしてはいけないのです。
21世紀は、地球人口の爆発で、石油だけでなく、水を巡っての争いも必至だといわれます。森林さえ健全にしておけば、水に困らない日本は、ありがたいものです。谷川にはきれいな水がいつも流れています。
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