「瓜の蔓には茄子はならぬ」
上の諺は「平凡な親には非凡な子は生まれない」をやや揶揄したもののようですが、まあ字義通り「ウリの蔓にナスビはならない」ととっても、これは、生物には遺伝という現象があり、それぞれの種(しゅ)からはそれぞれの種の子孫が生まれ、子は親に似るという話で、まあ日常の実感から当たり前で、何の驚きもない。
しかし、深く考えていけば考えるほどに、だんだん不可思議さが増してくる。
このところ、遺伝のしくみの本を読んでいるのですが、地球上の生物すべて同じ遺伝のしくみを持っており、それは、たった4つの物質が支配しているといいいます。
遺伝がDNAによっているというのは皆さんも聞いていると思いますが、そのDNAは、アデニン(A)・チミン(T)・グアニン(G)・シトシン(C)の4つの塩基(物質?)で構成されているという。そんなことは憶えても憶えなくてもどうでもいいですが、この四つの物質がどう並ぶかによって、種(しゅ)が決まる(ウリの蔓にはウリ、ナスビの木にはナスビ)ことになり、親と子の体つきや顔が似てきたり、下の写真のように、サクラソウの個体にも個性が出てくる!
サクラソウは個性のバラエティが大きいといいます。色の濃いもの薄いもの、ぼってりしたもの細身のもの、目がパッチリしたもの眠いもの、桜の花びらのような形のもの。それは遺伝子の違いによります。
そのバラエティに富んだ個性を生かして300以上の様々な園芸品種が作られてきたといいます。
これも、ここまで読んでも、「ああそうか」で終わる。
しかし、もっと突っ込んでみる。
先のA・T・G・Cの四つの物質の並び方が一種のコードとなっていて、そのコードに従って、様々なたんぱく質が作り出され、それが、それぞれの種の違いや、またその種の中の個性(サクラソウの個性)を生み出す。
この地球上には、種名がついているだけで170万種(未知のものを加えると1000万種から億種という説もある)の生物種と、その中の個体には無限の個性がある(十人十色)。人類もいま60億人の人口がいるが、一卵性双生児を除いて二人として同じ顔の人はいない。
なんでたった四つの物質の並び方が変われば、作るたんぱく質が変わるの? 170万から億といるかもしれない種、しかも一つの種の中に無限の個性を作り出すには何種類のたんぱく質があるの? そして、作るたんぱく質が違えばなんで種や個性が違うの?
そんな単純で複雑な遺伝のしくみを誰が作ってきたの?