今回は、250回記念号。目標の1000回のクオーター(1/4)到達。
ということで?!、趣向を変えてエッセイ。
最近、元の会社のOB会の会報に出したエッセイ。それなりに、反響を頂いたようなので、ここに再録。
52歳で社長業をなげうち、フィリピンの小さな島をまるごと買い取って移住した崎山克彦さんの本(『カオハガンからの贈りもの』海竜社)で、含蓄ある話に出会いました。インドの理想的な人生観に、「学生(がくしょう)期」、「家住(かじゅう)期」、「林住(りんじゅう)期」、「遊行(ゆぎょう)期」を順次まっとうするというのがあるというのです。最近かなり話題になっており、今年、五木寛之さんの『林住期』(幻冬舎)という本も出版されました。
「学生期」とはいうまでもなく社会に出るまでの修行期、今の日本でいえば学校で「学ぶ」ステージ、「家住期」とは社会に出て働いて稼ぎ、家庭を築き、養うステージ、「林住期」とはその役割を果たし終え、かといって社会との関係を断つのでもなく、家住期の経験と蓄積を生かし、社会にお返しをするステージだということです。いま崎山さん自身は「林住期」で、NGO活動などで社会にお返しをしているといいます。そして最後の「遊行期」は、そうした関係も離れ、何にわずらわされることもなく水の流れるごとく雲の行くごとく遊行しながら、静かに人生の最期を迎えるというものです。
中味も含蓄豊かですが、ネーミングがいいですね。さすが仏教、ヒンズー教など発祥の地ですね。とくに「林住期」は、中高年の憧れの一つ「田舎移住」など、まさにぴったりのイメージですね。これから団塊世代中核が迎える定年(2007年問題)は、上の区切りでいえば、多くの人が「林住期」に入るということでしょう。
しかし、それはまだ「遊行期」ではないのです。とくに今の長寿社会、60歳から「遊行期」では早すぎます。みなさん、どのような定年後の「林住期」を充実したものにするか、に心を砕いていらっしゃることでしょう。
私は、「林住期」として「森林インストラクター」を選びました。といえば語呂を合わせたようで話が出来すぎですが、それは全く偶然でしかありません。たまたま自然、なかでも植物が好きだったので語呂が合っただけです。
私は、その「林住期」予備期を55歳で迎えました。みずから手を挙げて、休職を選ばせてもらいました。
その後は、友達のコンサルタント会社を手伝ったり、それまでの仕事の総決算の本を出版したりといった「家住期」の続きを半分、「林住期」の準備―野山歩きや「森林インストラクター」の資格試験の勉強を半分といった生活でした。2003年、休職のまま定年を迎えました。
実際に試験に挑戦して二年目、一昨年末合格し、「森林インストラクター」の資格を得ることができました。
この資格は、認定主宰団体では、
「森林を利用する一般の人たちに対して、森林や林業に関する知識を与え、森林の案内や森林内での野外活動の指導を行なう者」
といっています。
また、平成16年に施行された『環境教育推進法』による、「環境の保全に関する知識や指導を行う能力を有する人材」を育成又は認定する『人材認定等事業』として、環境大臣と農水大臣の連名により登録されました。
子供達からシルバーまでの自然観察会、環境勉強会の講師や、森林ボランティアとして活動できればいいな、と思っています。なにせ「林住期」は、まだ「遊行期」のように枯れて隠遁してしまうのではなく、そうした形でも社会と切り結びができれば、生き甲斐も違ってくるでしょうから。
私と林の中をご一緒しませんか?
今日は、来週末、あるパーティを高尾山に案内するので、その下見でコースを歩いてきました。あまり書くと来週のパーティの人の興ざめになりますので、少しの写真のみ。頂上では紅葉が始まっていました。