今回の石垣シリーズの最後です。
娘のマンションからほど近いところに、
宮良川という川があり、河口に
マングローブ林が発達しています。
宮良川・河口
そして、このマングローブ林は、
国の天然記念物に指定されています。
ところで、マングローブ林といっても、マングローブという樹種があるわけではありません。亜熱帯から熱帯にかけて、河口などの淡水と海水が混ざる汽水域に発達するヒルギ類の林のことです。石垣には、
オヒルギ、メヒルギ、ヤエヤマヒルギなどの樹種があります。
ヒルギの落ち葉などの有機物も多く、また満潮時には林内が小魚の隠れ場所になり、干潮時には、干潟になったりで、そこに生息する生物も多く、きわめて貴重な生態系となっています。
また、津波や台風高潮の緩衝域としても重要です。
豊富な生物獲物を狙うシラサギ
マングローブの中は、こんなになっています。
泥土のなかで木を支える支持根、地中では呼吸ができないため膝を曲げたような
膝根という独特の呼吸根をいたるところに出しています。この呼吸根から、取りすぎた塩分を捨てるともいわれています。
ヒルギ類の独特の生き方は、この種子にもっともよく現れています。
まだ木についているときに発芽し、このようにぶら下がっています(胎生種子という)。そして時機が来れば、上の根の方を下にして落下し、泥に突き刺さって定着するのです。また場合によっては、流れていって、新天地に定着します。
幼苗
生長木
オヒルギの花
メヒルギの花(蕾)と種子
このような貴重な生態系であるマングローブも、タイなど熱帯では、日本への輸出用のエビ養殖場のためや、木炭原料(堅くて、火持ちのいい炭になる)として大々的に切り開かれ、危機に瀕しています。