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2010年 04月 25日
左欄のカテゴリ[自然の驚き]をクリックすると、前回以前のエッセイもお読みいただけます。ブログでは話の筋道を追うには古い方からたどる必要があります)
次にお話するのは、この送受粉とならんで植物たちの繁殖にとってかかすことのできない「種子散布」についてです。送受粉は、次世代の遺伝子の半分―花粉という雄からの遺伝子だけの移動ですが、種子散布は次世代まるまんまの移動です。種子には、次世代の個体をつくるすべての能力がとじこめられています。その意味で「種子散布」も植物の繁殖にとってかくべつ大きな意味をもっています。それにも動物が大きな力をかしているのです。ここにも持ちつ持たれつの共進化という、生態系の驚きがあります。 肉を切らして―植物の繁殖戦略② 種子散布 ・動物をつかった四つの種子散布戦略 この次世代まるままの移動を植物のがわからいって、動物を利用して生きる植物の戦略という意味で「種子散布戦略」といいますが、それには、おおまかにつぎのような四つがあります。①被食型散布 ②貯食型散布 ③アリ散布 ④付着型散布。 今回は、最初の二つ、次回に後の二つを見ていきましょう。 ①被食型散布 まずそのひとつは、動物が植物の実を食べ、栄養部分だけを吸収し、種子を糞として散布するものです。つまり植物のがわからいえば、果実で動物への報酬をあたえ、そのかわりに種子をはこんでもらうという戦略です。自分の庭でまいたおぼえもないのに実生苗がはえてくることがよくありませんか。その多くは、この鳥たちが運んできた種子です。 まわりにおいしい果肉をもち、なかに消化されないかたい種子をもつものが中心です。被子植物のおよそ半分がこの被食型の種子散布戦略をとっているといいます。私たちのまわりのある赤や黒、黄、青といった目立つ色の実をもつ植物たちです。 エノキ、ムクノキなど高木にもありますが、森のなかの低木類に多いようです。小鳥たちの生活の場が森のなかが多いからでしょう。ガマズミ、アオキ、ムラサキシキブなど、あげればきりがありません。ついている実をみれば、その植物たちの繁殖戦略がみえてきます。動物に種子を運んでもらうためだけにわざわざ食べられるおいしい果肉をつけ、発見されやすい色をもつように進化してきたのです。 小鳥たちが実を食べ、腸をとおった種子が排泄されるのは10~90分後といいます。だからそのあいだに小鳥たちが移動する範囲に種子が散布されるのです。平均数百メートルといわれます。小鳥たちのおかげで、うごけない植物も年に数百メートルずつ新天地を拡大できます。 そして不思議なことに、まわりの果肉を食べられ、動物の腸を一度とおって裸になった種子の方が、食べられなかったものより発芽率がいいようです。多くの種子では果肉に、発芽抑制物質がふくまれているからです。それもできるだけとおくに種子を運んでほしい植物の意思なのかもしれません。 小鳥ばかりではなく、哺乳動物が果実を食べ、消化されない種子を排泄する場合もあります。たとえばクマなどがこのんで食べるヤマブドウ、サルナシなどの液果がそうですし、近年人のすむ山里への出没が多くなっているクマが柿の実を種子ごと食べて運ぶのなども、これに入るかもしれません。 ②貯食型散布 リスやネズミ類、小鳥のなかには、秋に、たくさん落ちたドングリをひろいあつめ、隠しておいて食料のなくなった冬にそなえる習性をもったものたちがいます。リスやネズミ類のほとんど、小鳥ではカケス、ホシガラスなどです。彼らの習性を植物が利用するよう進化してきたのが、「貯食型散布」です。そうした戦略をとるのは、カシ類、ナラ類などで、栄養をもった大きな種子、いわゆるドングリをつける植物たちです。ドングリは、種子自体が栄養をため大きくなったものです。 ドングリ類は落ちたままで空気にさらされ一度乾燥すると発芽力をうしないます。つまりは土のなかなど湿ったところに入らないと芽ばえないのです(だからドングリの芽をださせるには、落ちたばかりのものをひろってきて土にうめないと芽はでません)。「♪ドングリ ころころ どんぶりこ・・・♪」で、自分で坂道をころがって重力散布をすることもありますが、いくらころがっても乾燥しないよう運よく何かの下にもぐりこまないと芽ばえることができないのです。また「お池にはまって」しまってはもちろん「さあ、たいへん」なのです。 たんに種子をとおくまで運んでもらうだけでなく、乾燥しないように土のなかに埋めてもらうために動物を利用するのが貯食散布です。そうした乾燥しなかったドングリのうち、動物たちが隠し場所をわすれて、あるいは食べあまして春までのこったものが、翌年芽ばえます(じっさいには、うずめられたドングリはすでに秋のうちに根をしっかりと地中にだしている。晩秋にドングリのなる木の周辺の落ち葉の下などをさがしてみてください)。 ある調査によると、親木からドングリをネズミが運んで隠した距離は、70メートルもあったそうです。単純にかんがえれば、ドングリをつける植物たちは、動物のおかげで一年に100メートルたらずうごいていくことができるのです。空中をとぶ鳥のカケスではもっと長距離なのかもしれません。一年に100メートルをうごくとすると、日本の本州の端から端まで2000キロを移動するには、たったの2万年で可能です。生物進化などという時間のなかでは、2万年など一瞬です。 これも、大半の種子は食べられてしまうという大きな代償をはらった、「皮を切らせて・・・」の植物たちのギリギリの生きる知恵―進化の結果です。
by jo-toyo
| 2010-04-25 06:19
| 自然の驚き
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