左欄のカテゴリ
「自然の驚き」をクリックすると、前回以前のエッセイもお読みいただけます。日記のように、ブログでは話の筋道を追うには古い方からたどる必要があります)
エッセイシリーズもここからは新しい展開です。話はだんだん植物の不思議、驚き、面白話に入って行きます。
・植物と動物は、どう違う?
なんでもそれだけを見ているとあまりわからないが、他のものと比較すると、その特徴がいっそうよく見えてくることがあります。
植物の特徴をよく知るには、動物との違いを見てみるのが近道です。本質的なところからその違いが見えてきます。
その違いは、植物と動物の食べ物からきていると、植物栄養学者の高橋英一さんはいいます。
「独立栄養生物=植物」と「従属栄養生物=動物」の話に関係しますが、植物は無機物を、動物は有機物を食料とする、より具体的にいえば、植物の食料は、太陽光、二酸化炭素、水、窒素、ミネラルの無機物であり、動物のそれは、他の生物の体をつくっている有機物の炭水化物やたんぱく質です。さらにいいかえれば、植物は有機物を合成し、動物は、その有機物を食べて分解することによって生きている。
植物は他の生物に頼らなくても生きていける、だから「独立栄養生物」、動物は他の生物に頼らなければ生きていけない、だから「従属栄養生物」といいます。
ここから、両者の「形、色、行動」などのすべての違いが生まれているといいます。
たとえば、形。
植物は、食べ物のなかに浸って生活している。体のまわりに陽光はあふれ、二酸化炭素も空気中に漂っている。水や養分も地中に根さえはれば、そこにあって吸収できる。ということから、体のつくりは、できるだけ外界に接する面積をひろげるよう開放的に、線(幹、根)や平面(葉)でできている。
一方、動物は、他の生き物をゲットし、口から食べて、胃や腸で消化して栄養を全身に送らなければならない。だから動きやすく、できるだけコンパクトな立体的なつくりになる。
そして色。
植物の色は、太陽光を吸収するために、ほとんどが葉緑素の「緑」一色。たまには赤(カナメモチ)や紫(紫キャベツ)に近い色をした植物もありますが、それは他のアントシアンなど色素があるため、緑が隠れているに過ぎないのです。一方、動物は、食べにくる敵から隠れたり、逆に目立って威嚇したり、あるいは、異性を呼びよせるために鳥たちのオスのように鮮やかな彩り。(植物の色とりどりの花は、その動物をおびきよせるため)。動物に特に基本色といったものはありません。
最後の動く動かないといった行動の違いも、そこから来ています。
植物は、食料がまわりに漂っていて「やってくる」ために、わざわざ動く必要がない。一方、動物は、食料をえるためには、他の生き物をさがし出し、捕らえて食べなければならない。そのため視覚、聴覚、嗅覚などの感覚器官、情報伝達器官としての神経系、そして動くための筋肉系が発達してきた。
私たちは、「動く」動物の方が発達していて「動かない」植物は遅れている、と、そう考えがちですが、それは違うようです。
植物は、動く必要がないから、動物のような機能が進化しなかっただけ。だって植物は、待っていれば「向こうからやってくる」食料を、体の全面を使って、つまりは陽光や二酸化炭素は葉から、水や養分は根から取り込み、栄養をつくりだせばいいのだから。
他の生物を食べる(殺す)ことなく、みずから栄養をつくりだせる植物=独立栄養生物の方が、よりすすんでいる?
この植物の葉、幹(茎)、根、花にまつわる面白い話を今後していきましょう。